2011.03.22
第8号 月刊「美楽」4月号
『耳そうじ』
「さくらの花びらの開く音が聞こえるよ」
と、口癖のように言いながら、母さんは耳そうじをしている。
耳の奥のほうでごそごそと、風がぶつかるような音がる。僕は手を握り締めて固まっていた。
桜の花びらが咲く音はしなかったけれど、夏の風に揺られて落ちる花びらの音が聞こえた。
2011.03.20
第7号 月の引力
月の引力とは、古くからたくさんの小説やデータや映像にもなっているが、なんと言っても人間の心を一瞬にして奪う”その光の力"ではないだろうか?人は、物を見たり、聞いたりすることで、”胸の中にある心を、対象物に奪われる”。まるで、放り出すように、対象物に心を放り投げる。
二日続きの、ゴルフで、下半身がパンパンに伸びている。車のアクセルを踏むのも一苦労。
夜食を食べて、皇居の横を通りかかると、一人の年老いた深夜のランナーが、芝生の上で、夜の空を眺めていた。
空を覆う雲は、青白く光り、しかもまるで大陸が移動するように、ゆっくりと流れている。
顎を上げて、フロントガラスから、ビルの上の空を眺めると、雲の隙間から、月が見え隠れしている。思わず車から飛び降りて、僕は、皇居の芝生の上に、寝そべった。そうそう、今宵は、スーパー・ムーン・・・・・こいつが、地球を狂わせてるんだ。地震、津波、火山・・・・・満月。
普段、ホノ優しく感じる明りが、今夜は、なんだか、”悪い占い師の鏡のように”引き込まれ、魅せられてしまう。
(注)月と地球の接近は「スーパームーン」とも呼ばれますが、今回はおよそ35万6500キロメートルと、1992年以来19年ぶりに最も接近した距離となりました。
NASA(アメリカ航空宇宙局)によりますと、今回は、月と地球が最も遠くなった時に比べて、大きさでは14%大きく、明るさでは30%明るく見えるということです。
確かに、確かに、いつもよりずっと大きな満月だ・・・・心が熔けて、ふやけて、吸い込まれていく。
2011.03.17
第6号 「「はしご」揺れる拉麺
VSNのK役員といつものように、一風呂浴びた後、何か”油っぽい”ものが、食したくなり銀座のシナ麺「はしご」で、醤油に”全部いり”を食していたら・・・・例の振動が、やってきた。店員さんも力強く身構え、客も唖然として、寝れた視線で壁や天井を眺めている。私は内股に、筋力を張りながら、咀嚼を急いで麺を啜る。ずうずずずずz!
11日の地震の時も、
「震源地は、何処だろう?」と瞬間に案じ、本能的に地震の規模の大きさを察した。その後に東北の惨状をニュースで聞いた時、つらいな・・・やはり、そうか・・・そうだったのか・・・と思った。
よくよく器の表面を凝視すると、叉焼と麺が小刻みに揺れているように感じる。日本に住む全ての人が、そうかもしれないが、体の軸が異常に繊細に反応し、それは、まるで”麦の穂に留まる赤とんぼ”のように、揺れることに敏感な恐怖を、覚えてようだ。昔、釣り船が波に揺られて、2,3日シップ・ラグに襲われたことがある。そう、日本中が、気持ちも、心も不安定に揺れているのだ。
”揺れる拉麺”を急いで、タイラゲ、人気の無い銀座の待ちを、後にした。
鈍感な私でさえ、しゃぶしゃぶや、鍋料理、など器の表面にお湯の張ったメニューは、しばらく、食べる気がしないとなれば、料理屋さんは、この春から、売り上げを下げることになる。
この夜も、岩手、宮城では、ばらばらになった人の頭上に、春の雪が落ちている。
2011.03.16
第5号 セ・パリーグ開幕戦延期なのだが・・・・
セ・パリーグの開幕戦延期される。電力の問題もあるし、いくら震災にあった人を励ますと言っても・・選手協会がこの経営優先主義の無理な論理を否定している。
いい判断だと思う。考えてみれば、野球を夜開催しナイターで試合するというのも不健康で不自然な話な話。甲子園のように青空の下で、汗をながし、人工芝ではない天然芝で、泥にまみれ白球を追うのが、当たり前なのだ。
野球が、日本に輸入されて?伝道されて?100年以上になる。神田にある学士会館の前に、その記念碑がある。明治4年つまりは、維新の直ぐ後に「打球おにごっこ」と言う名前で、全国的に広がったこのスポーツは、戦後メディアの発展と共に、数々のスター選手を輩出しながら、国民的なスポーツになった。
そして、今、21世紀の訪れとともに、抜本的に見直しを要求されている。
”こんな時だからこそ、一度、船を止めて今後の航路を、確認する”いい機会かもしれない。
学士会館の前の野球碑は、良く見ると、ボールが地球儀になっている。まだ、日本がアジアの”ちいさな島国”で、この国の将来を有望視した米国人教師ウィルソンが、野球を教育メディアとして、位置づけていたのだろうか?
ならば、2011年現在、プロ野球を運営するスタッフは、今の子供たちに、何を伝えようとしているのだろうか?そこに、今後の野球の、発展の鍵があるのだろう。
2011.03.13
第4号 バーバリーの広報は”水漏れ”かな?
三陸海岸を襲った”海の大量虐殺”を、テレビが繰り返し繰り返し繰り返し・・・流している。ドノ映像も、泥水の海に浮かぶ”町の破片”と、獰猛なくせに静に襲い掛かる”長い蛇の集団”が、姿の無い人間を飲み込む瞬間ばかりで、”脳味噌が、重たく揺れる、どんよりとした妙な湿度”に犯されていく。
飲料水と煙草と思考能力が切れたので、銀座の街に、買い物に出かけた。
友人のE氏が、テレビで何度も呼びかけていた。
「このままいくと電力の供給が、出来なくなる可能性があります・・・・」
随分、勝手な言い分では、無かろうか?普段支払っている、電気代の中に、原子力発電所の、点検コストも入っているだろうに。
しかし、わが身を振り返ると、電気に、ほぼ100%すがる現代の人間社会は、30秒でも電流が止まると、水の無い水槽では、生きていけない魚になる。
こんな非常事態に、Bというブランドショップの明りが、自らの非常識という”恥”を自慢するように、煌々とネオンサインを輝かせていた。
このメーカーのコートは、きっと昔のような、”質の高い商品”では、なかろう。
”水も漏らさぬコート”の決め手は、丁寧に折られたコットンから、始まるのだ。
松坂屋はこの日から、営業時間を2時間短縮して、東北に祈りを捧げている。
「さよなら、水浸しの会社”バーバリー”。」
2011.03.08
第9号 わさお弁当は久し振りの弁当プロデュース
わさお弁当を、サークルKサンクスと東映さんとで共同で発売!あの大ヒット「橋本真也シリーズ」から数えて実に63作品目にあたる。中には、小泉総理のシシロー弁当のようなトラブル(2001のビーンラディン・テロで発売中止)もあったが、ほとんどがミリオン・ヒットで、シリーズの合計は2000万食にも、及び、・・・・といっても目標の1億食には、まだまだか・・・。
「わさお君」は、みなさんご存知の様に、青森県出身の犬。その”華麗なる容姿”が話題となり、ブログの波も手伝って、”現代の癒しの教祖”とも呼ばれている。
そして、彼の好物は「チキン」。サークルKの青木さんが、早速10数種類のメニューを手際よく企画し、このような弁当を中心に、東北エリアのCVSの店頭を、話題の渦に巻き込んでいる。
一般に、動物物は・・・ましてや写真を使った食べ物商品は、不気味で売りにくい。しかし、いまや、犬や、猫や、人によっては熱帯魚などは、家族同然・・・・「ならば、人物キャラの感じで、行こうか!!!」
と言うことで、さて、さて、評判は如何に?