DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2015.05.20

月刊「美楽」2015-6月号

大江健三郎(出身:愛媛県)

 悲しいことに出版不況である。
 日本人と活字や言葉の距離が日に日に離れて行く気がする。3400万人ともいわれる団塊世代が大江健三郎を枕元の蔵書にしていた頃からほぼ半世紀が過ぎた。 ノーベル賞を受賞したことで日本よりむしろ海外での評価や親近感の方が固まっているとも聞いた。

 今、再び大江先生の作品『壊れものとしての人間』(講談社、1970年)を読み返し、日本が途方もない将来を迎えるのではないかと危惧している。