2005.12.28
第18号「沖縄の林賢バンドは、僕の・・・・・・心の薬」
ここ数年、年末になると、特に大晦日のあたりは雑多なイベントに追われるので林賢さんへの挨拶は、クリスマス明けが恒例になっている。
那覇は、鹿児島に次いで僕の二番目の故郷である。飛行機の窓から青い珊瑚の海が見えると、動脈ばかりが騒がしい東京の生活から、ゆっくりと静脈が流れ始める。すると、決まって林賢バンドの「満天の星」が聞こえ始める。
林賢さんとの付き合いは、かれこれ20年近くになる。お互い南の暖かい風に育てられたということもあり、お目にかかったその日から“何百年も一緒に遊んできた友人”のように思えた。
それ以来、アジアの各国からアーティストを集めた音楽祭を開催したり、僕自身のレコーディングで彼のスタジオをお借りしたり・・・・・音楽を“ネタ”にたくさんお世話になっている。
沖縄の真ん中辺りに北谷という新しい商業エリアがある。林賢さんはこの海沿いの一番良い場所を陣取ってスタジオを創設した。
“あの風靡な林賢サウンド”をひらめいた時に録音し、となりのライブハウスでその新曲を発表し、世界中のファンたちとレストランで日夜語り合っている。アーティストとしては、まさにこれ以上ない理想郷。
東京が凍える4度だというのに、今日は20度。
みゅんちーさん(林賢バンドのボーカリスト)にお付き合いいただき、琉球カントリーに出かけた。スコアーより、強い風の中で大きな声でやり合う彼との会話が楽しみなのだ。
このコースの名物はあの「ソーキそば」。5分でテーブルに来るので、赤い生姜を一杯入れて、3分でたいらげる。
僕のようなそそっかしい奴でも、受け入れてくれる沖縄。
2005.12.20
第17号「湯河原の小料理「かまりゅう」は、絶対に秘密の“おもちゃ箱”」
ヤフーの川邊氏のお誘いがあって、湯河原の小料理屋に・・・・出かけた。
湯河原といえば、年末になるとイマジニアの神蔵氏と、ブレストの為に何度も訪れている「あしかり」に行くのが習慣になっている。
新幹線を使うと1時間以内、小田原で伊豆急行に乗換えるあたりには、すっかり旅行気分にしてくれる手軽な癒しのエリアである。
「湯河原に行きませんか?予約をしなければ、入れてくれない変わった料理屋がありますよ。何か、面白い人生を送っている料理人がいるって話もありますし」
川邊氏は、IT系(ヤフー)の寵児という安易な紹介では申し訳けない程、アナログ・センスの持ち主。
PCや携帯一辺倒になりがちな生活感覚のIT業界人が多い中でも、リアル(生の現実)のバランスがとれた常識人でもある。従って、彼の話はいつも、義理や人情があり、何より事実であり“血が通っている”。
だから、いつも彼の誘いにつられる。そして乗る。
というわけで、駅から湾に向かって徒歩10分。「かまりゅう」は湯河原の普通の住宅街の中のある。それも二階はアパート風。料亭のイメージを描いている人なら確実に通り過ぎる。しかし不思議なことに地元のタクシーなら、誰でもこの迷路の中の一軒を知っているらしい。それほど“上手い”のである。
カウンターの向こうから、丹前を着た蒲田氏がどんどん料理を提供してくれる。地元物の鯵、烏賊の刺身から始まって日本酒で酔わせた蝦の踊り食い、何を創作しているかと思いきやカサゴと思われる揚げ物。・・・・。30種類ほどの豊富な材を、或る時はアジアン・テイストに、ものによってはフレンチに、それはまるで子供が次々に自慢のおもちゃを客人に披露しているかのように。グルメおもちゃのライブ・ショーである。
8畳ほどの店内の柱と壁に、見事な筆で書かれた品書きや、能書きや、一筆らしき絵が張ってある。
つまり蒲田さんは筆の達人でも或るのだ。そしてフルコース3500円。飲料持込可。
“男の人生とは披露(技)できるものが多い人ほど、素敵”なのである。
最後に登場した白身魚満載の鍋をつつきながら、すっかり満腹の僕は、川邊君とその仲間の将来に乾杯をしていた。
*この店に是非行きたいと思っている方は、電話番号を紹介します。・・・・・当たり前ですが、ホームページなんかありませんし、要りません。