DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2009.04.27

第13号 ジャガーの命

ジャガーの命は、走行距離ではない。イギリス生まれではあるが、今や資本はインドのタタが大株主。ジャガー・グリーンも無論嫌いではないが、汚れやすく、交通事故は、黒や緑の塗装が多いと言う。木製のパネルも嫌いではないが、70年の後半からバランスが悪くインパネは消極的。本来2人で乗るべき車なので、後部のシーターは狭くて硬い。

 ジャガーの命は、あくまで、豹の姿なので。ある。
青空の白が、車体の白に、共鳴している。
幸いに、午後の太陽が、豹に影を落とし、豹は走り出している。

 俊敏で、大胆で、静謐な車である。

「携帯でも、結構、味わえる構図が撮れていた」




2009.04.25

第12号 友部正人の「ジュークボックスに住む詩人」

友部正人のジュークボックスに住む詩人・・・・に出会った。神田神保町で歯医者さんの待ち時間があると、古本屋さんを廻る。古い雑誌を捲り、店主のおじさんと世間話をし、最後に詩のコーナーに立ちよる。 

 18歳の頃、名古屋の栄公園で、毎週土曜日のフォーク集会が開かれていた。何百、時には何千の学生が、そこに参加することで”生きる自分”を探していた。友部さんは、地べたに座り、怖いほど鋭い表情をギターにぶつけボブディランを歌っていた。
 僕は、音楽はしていたものの、”そのフォーク集団”の中には、入らなかった。入れなかったのは、少し年下のせいもあって、気後れしていたのだ。

 歯の治療を終えて、思い出したように、アマゾンを開き友部さんのCDや、本を探した。
 あの、心をそのまま言葉にした友部さんの詩集やエッセイが販売されていた。2日後に、松田優作やブレッド アンド バターと一緒に本が届いた。

 ビニール袋を空けた瞬間に、1972年の栄公園の芝生の匂いがした。

 「アマゾンは、いつも”思い出”のパンフレット」




2009.04.20

第11号 月刊「美楽」5月号

田植え

誰かの足を踏んづけた。
隣に住んでる鬼の顔をしたおじいさん。
麦わら帽を首まで被り、腰まで田んぼに浸かってる。
誰かの足を踏んづけた。
隣の町の、村長さん。
内輪を片手に、お手伝い。
誰かの足を踏んづけた。
雨靴忘れた雷様。
足がたくさん田んぼに浸かり
誰かの足かもわからない、
ごめんなさいは後回し。





2009.04.13

第10号 インプラントとの戦い

 先週の水曜日、逃げ回っていたのだがついにインプラントの手術。
写真を見てのとおり、我ながら痛々しいを通り越しておる。知らない人は、
交通事故か何かで、担架で運ばれているのではないかと、思われるのではないだろうか。

 下の歯に1本(前回とあわせると合計4本)、上の歯に2本。目標は?12本程度のインプラントで、わが身の高齢化に備えようと考えている。今回は、全身麻酔に、局部麻酔を取り合わせ、医者3人に看護婦2人という万全の体制で手術を、迎えた。・・・・ところが、準備不足は、私の方で、特にどうやら心の準備が、足りなかった。左の下のグラついていた歯の抜歯のときに、恐怖心が絶頂に達し、なんと目覚めてしまったのだ。痛みのないはずの時間帯で、治療椅子から、起き上がり、さらに体を右に反転させたのだ。

 記憶には無いが、驚いたのは、医師団の先生方で、
「こんなに、無意識のうちに、嫌がったのでは、危険だな」
との判断の元、1本は次回に回すことになった。

 ちなみに、この不安感と恐怖心は、幼年期に受けた歯の治療が、トラウマになって、フロイトの言う「客観的不安」となり、僕の精神を支配しているらしい。
 
 ”不安は、全て希望を、奪い去る最悪の要素である”

奇妙な不安は、待たないで、行き当たりばったりの人生を選んだ方が、一本も”日本”も前進する。