DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2001.09.01

協栄ジムの金平会長は、天国でもチャレンジャーを探しているのかなぁー

協栄ジムの金平会長は、天国でもチャレンジャーを探しているのかなぁー

横浜アリーナに向かう首都高速道路は、土曜日だと言うのにガラガラ。自宅からわずか30分で港北インターに着いた。いつも格闘技の会場に向かう時は、右脳が動く。試合の展開を予想しながら“思い出のマッチ”になるよう、心の何処かが番狂わせを期待している。

今日は、日本では珍しく、ダブル世界タイトルマッチだ。いつものように、近くのコンビにエンスの前に車を止め(会場内の駐車場は退場の時にものすごく混雑する)、意外と閑散としたロビーを抜け、リングサイドの席についた。

PandSの横井社長が相変わらずダブルのスーツに薄いサングラスをかけて観戦中。リング上では、日本フェザー級タイトルマッチが行われ、番狂わせでハードパンチャーのユージ・ゴメスがKO負け。カシアス内藤以来続く黒人系のハーフボクサーはなかなか完成しない。彼らは共通して、何処か甘えん坊が多い気がする。自我確認がボクサーに一番必要な要素・・・・・・つまり、『俺は、チャンピオンだ。俺は誰にも負けない。俺しかいない』といった、つまりコンクリートのような自身がかけている気がするのだ。

僕が、多分ボクシング業界に始めて持ち込んだ派手な演出。音響・照明、吹奏による音楽コンサートのような雰囲気の中で、世界バンタム級タイトルマッチ「西岡 VS ウィラポン」と、世界スーパーフライ級タイトルマッチ「小林 VS ロハス」が行われた。2つとも凡戦で、特に日本人のパンチ力の低下が試合をダメにしている。それに輪をかけたように何か“負けん気”が感じられない。「自分が壊れても、相手をこなごなに破壊してやる・・・」といった“殺気”が感じられない。やはりこの国は、豊になってしまったのだろうか?少なくとも、食べるのに苦労するような若者は何処にも居ない。2つの試合は、予想した通り判定で、しかも引き分けとなる結果であった。

7.8年前、故金平会長と、鬼塚選手が世界タイトルを奪取した夜、二人で新宿で祝い酒を飲んだ。『世の中が変わっても、ボクシングは変わりゃせんよ・・・。結局、死ぬか生きるかしかありゃせんから・・・』世界チャンピオン作りのプロは、淡々とそう言っていた。

天国では、格闘技があるのだろうか?

天国にも、貧富の差はあるのだろうか?

天国にも、ハングリー精神はあるのだろうか?<