DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2014.05.22

ポール・マッカートニーの国立競技場

 国立競技場の周辺は、ひっそりと静まり返っていた。

 昨年の秋に続いて、言ってしまえば立て続けに来日することが決まっただけに、「またくるのか」と思った人が相当数いるに違いないし、どこか胸騒ぎを覚えた人もいたのではあるまいか。
 
 案の定、関係者の話では、日本公演の前のブラジル公演でポールは体に変調をきたし、高齢であるだけに無理がきかず、国立競技場での野外ライブは中止となった。公演中止の広報が遅れたため、会場の周辺は何千人もの人で溢れかえり、楽しみにしていたお祭りが突然の雨で中止になったような煮え切らない虚しさが立ちこめている。

 国立競技場が、東京オリンピックの関係で建て直しが決まり、取り壊しが始まろうとしている。
 ポール・マッカートニーの公演中止の理由は不明確の中で、ファンの悲しみを誘っているのであるが、一方で莫大な税金を使う新国立競技場の建設費用は、明確にして欲しいものだ。




2014.05.20

月刊「美楽」201-6月号

「アルベルト・ザッケローニ監督」

 ワールドカップが国と国の威信をかけて戦う大会といっても南米や欧州とは異なり、まだまだピンとこないのが日本人である。
 国技と言われる相撲ですら、十年間モンゴルをはじめとした外国人横綱にその座を奪われても、大した悔しさもなければ、柔道や和弓と行った我が国伝統のスポーツが今ひとつ盛り上がらなくても、問題意識すらない。スポーツに国境はないといってしまえばそれまでだが、要はテレビがオンエアする競技しか支持されないのだ。

 なでしこジャパンがワールドカップを制したのも今や過去の話。今回のワールドカップも、弱々しいアベノミクスが一瞬のカンフル剤になったとしても、根本的なパワーの源にはならない気がする。