DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2009.02.20

第7回 月刊「美楽」3月号

「お雛様」
 3月上旬になると、上着に何を選んで良いのか、迷う季節である。セーターを羽織るか、マフラーを巻くべきか、半ズボンか長い靴下か、毛糸の帽子を持っていくべきか・・・・。

 村のあちこちに、濃い分厚い葉っぱをまとい、まっ赤な寒椿が何週間も輝く赤を誇張する。すべての生物が黒か茶色か白であるはずのこの時期に、この輝く赤はまるで生物の心臓のようにその静脈を露出する。

 お雛様の時期になると、私はいつもあかぎれから滲み出した血液とその赤に明日の生命を感じていた。





2009.02.11

第6回 北京五輪の取材の時の・・・・

 北京五輪の取材で、宿泊した中国大飯店の、窓に”異様で大胆なデザイン”のビルが、朝もやの中の、曇天の空に突き出していた。
 建て掛けの中国中央電視台(中国中央テレビ、CCTV)の、ビル。それは今世紀が中国の時代であるかの様な象徴的な自慢の、建造物であった。

一昨日、そのビルが火を噴いた。煙は、曇天の北京の空を黒く覆い、僕の脳裏にさえ煤(すす)の焦げた匂いが、タチコメタ。やはり・・・・。