DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2009.01.31

第5回 江副さんとソウル危機の晩飯と南大門の空虚

 江副さんと、ソウル取材。サブプライム・ショックの最も影響を受け、為替は壊れ、輸出は留まり、求人市場は白旗状態、韓国人独特の”底辺のエネルギー”を創成するはずの庶民も、外食を減らしている。

 朝、人手の多いはずの南大門を散歩した。薬屋にも、食料品店にも、おもちゃ屋にも、靴屋にも、革の衣料品店にも客がいない。

「冷えますね」
「この街の経済は、立ち直るのも、早いからね」
「甘いものでも、摘まみましょうか」
「どんな時でも、食べ物は強いね」

 50年前(半世紀)に、学生事業家として、人材産業の種を植え、日本一の求人会社を作り上げた人の眼にも、ウォン・ソウルは、国家経済の破綻が明らかのようで、しばらくは回復の兆しが掴めないのと読んだ。






2009.01.20

第4回 「美楽」2月号

『飛ばしっこ』
 山を切り崩し、工場を造り、木を倒し、花を摘み取り、団地を作り、すべての道を車が走りやすいようにコンクリートで固め、流れる川をせき止め、ダムを造り、海を埋め立て、コンビナートを造り、子どもたちは簡単にトイレさえも行けなくなった。
 都会では、廃墟の跡や地上げ途中の空き地以外、キャッチボールをする場所すら見当たらない。まかり間違って、小学生が立ちしょんべんをしようものなら、ものの何秒でストレスの溜まった大人たちに叱られる。

 「伸び伸びとした子どもたち」を育てることが、国家全体の創造力を高めることに繋がるのは当たり前なのに、今の子どもたちは可哀相なほど怯えている。





2009.01.14

第3回 セブンイレブンの漫画読むヤング

 セブンイレブンの夕方6時。会社を終えた”若きビジネスエリート”は、漫画コーナーに列をなしている。出版不況で、今や、雑誌は廃刊ブーム。出版市場も1兆円を割り込むのは時間の問題。インターネットのせいでもない、活字離れのせいでもない、日本文化がどうのこうのという気の難しい話でもない。不況なのだ。大好きな漫画雑誌にも消費は向かない。
だったら、文化とは金がかかるのか?・・・・・その通り、精神論は別にして、文化も情報という回路がある限り、ある程度の金がいる。

 従って、この数年、若者の文化は育ちずらいに違いない。







2009.01.06

第2回  早乙女太一氏は100年に一人の逸材

 話題の早乙女太一氏と、新しい新聞「水の美楽」の取材でお目にかかった。北野武監督の「座朗市」での鮮烈な印象、昨年末の紅白での”目を釘付けにされた舞”・・・・。公演のチケットも矢のように売れている。

 とにかく一時間の取材時間ですら、確保するのが大変な逸材。上野の浅草ビューホテルで、矢継ぎ早に言葉を交わした。


 幼い頃から、舞台の道一筋で、その考え方(哲学)も、とても17歳とは思えないほど無駄が無い。ゴルフの石川遼君や、スケートの浅田真央さんなどもそうであろうが、幼い頃から目標を明確にするというのが、人間を無垢に磨き、センスと言う名の細胞の分裂を、無限大にする。いわゆる、無意識の鍛錬は、個人の眠っているうちに才能を開花させるのだ。

「好きなものは、何ですか」
「白いご飯です」

・・・・・イマドキ、こんなに素敵な答えを返してくれる若者はいるだろうか?

「睡眠時間は」
「日によって、異なります」

何処か間の抜けた、平凡な質問に、少し恥ずかしい思いをした私だった。








2009.01.02

第1回 日比谷公園、冷え込んだ元旦

 新聞や、ニュースの報道が気になって、日比谷公園の「派遣村」を覗いてみた。以前、藤原和博氏と新宿西口の”炊き出し”に顔を出したことがあったが、今夜は、何故か心が冷え込んだ。

 7000万人近い労働者の3分の1の1800万人が、非正規労働者という不安定な労働市場。2003年の小泉改革???以来、増え続けた派遣労働者が、フリーターが家がなく、食がなく、一部の行政では東京への片道チケットを渡されて町を放り出される。

 グローバル化だの、職業の形態は個人の選択?いろいろな理由をマスコミを通して正当化され、要は企業の調整弁として”都合のいい機械労働者が誕生した”。


 普段、浮浪者が眠る日比谷公園では、派遣労働者のアピールの場所として、1月4日まで寝床と食事を提供するオアシスに。しかしながら何故300人程度しか集まらないのか?今や数万人が集まるような事態が起きているハズなのに・・・・・