DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2011.03.17

第6号 「「はしご」揺れる拉麺

 VSNのK役員といつものように、一風呂浴びた後、何か”油っぽい”ものが、食したくなり銀座のシナ麺「はしご」で、醤油に”全部いり”を食していたら・・・・例の振動が、やってきた。店員さんも力強く身構え、客も唖然として、寝れた視線で壁や天井を眺めている。私は内股に、筋力を張りながら、咀嚼を急いで麺を啜る。ずうずずずずz!

 11日の地震の時も、
「震源地は、何処だろう?」と瞬間に案じ、本能的に地震の規模の大きさを察した。その後に東北の惨状をニュースで聞いた時、つらいな・・・やはり、そうか・・・そうだったのか・・・と思った。

 よくよく器の表面を凝視すると、叉焼と麺が小刻みに揺れているように感じる。日本に住む全ての人が、そうかもしれないが、体の軸が異常に繊細に反応し、それは、まるで”麦の穂に留まる赤とんぼ”のように、揺れることに敏感な恐怖を、覚えてようだ。昔、釣り船が波に揺られて、2,3日シップ・ラグに襲われたことがある。そう、日本中が、気持ちも、心も不安定に揺れているのだ。

 ”揺れる拉麺”を急いで、タイラゲ、人気の無い銀座の待ちを、後にした。
 鈍感な私でさえ、しゃぶしゃぶや、鍋料理、など器の表面にお湯の張ったメニューは、しばらく、食べる気がしないとなれば、料理屋さんは、この春から、売り上げを下げることになる。

 この夜も、岩手、宮城では、ばらばらになった人の頭上に、春の雪が落ちている。