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2015.04.27
月刊「美楽」2015-5月号
吉永小百合(出身地:東京)
吉永小百合さんほど“スター”の資格を感じる人はいない。母国日本を愛し、愛を貫き通し、それでいて立ち振る舞いは美しき常識人である。
女性のバイタリティのあり方を誤解している女性に、吉永さんの爪の垢を煎じてほしいと思うことがある。
2015.04.02
『羅針盤のない島』古庄幸一著
「国家とは、一体何だろう。
ある一定の期間、特定の集団がその土地に住み領土とし、生活を営み、
文化を築き上げた場所のことをいう」
と言った人がいる。
もし日本が国家だとすると、二千年以上の長きにわたり、
そこで延べ数億人の同一人種が同一の言語で交配を繰り返しながら、
脈々と暮らしてきた。
とすると、これほど国家という規定に明確な土地はないのではあるまいか。
しかしながら、この国家の基盤である経済はいまや破綻に近い状態で
しかも、そこに住む人材もさほど優れた教育を受けておらず、
さらには急速に普及するIT革命や目の前の人口減少という難題の中で、
日本人であることを失いかけている今日である。
古庄さんは、紛れもなく日本人の心の持ち主である。
その肉体は二千年前から流れている血液と、
職業を通して吸収された強靭な骨格と、
幼少のころに育まれたと思われる繊細さと知恵で構成されている。
月刊「美楽」に執筆を頂いてから、連載の本数は三十本を越える。
その文字の数は、およそ五万文字以上。
まだまだ連載の期間も本数も多いとも、長いとも言えないのであるが、
美楽『百念選集』として、別冊を作らせて頂くことにした。
ご本人の意向はさておいて、読者という名前の社会の要請があまりにも多く、強いからである。
来年で、日本が第二次世界大戦に敗戦してから、七十年になる。
この間、欲望の満たし方は西洋化し、その過程で喪った民族の歴史や文化や精神は、限りがない。
「ローマは一日にしてならず」ではないが、
「国家は無意識のうちに消滅する」。
※あとがきより
2015.03.30
Fine Tuning♪ 撮影:指揮者・原田慶太郎氏
黒い円盤が回転し、針を落とし、うっすらと音が流れ始める。聴く側と演じる側は一対一の相対関係の中で、同化していく。
幕が上がり、指揮者がタクトに命を吹き込むと、演じる側と聴く側は、溶解しまた同化する。
スピーカーと耳の間の空気が揺れるのとは異なる風のようなものが、会場に僅かに流れているのは、ライブ(実演)である。
冷え冷えとした宮殿で奏でられたクラシックと、冷暖房の効いた音響機器を調えた現在のコンサートホールで聴く音の違いは、検証は出来ないものの、明白である。
しかし、聴き手のこころの振動は、変動してはいないはずである。
2015.03.25
『食べる人』ばんからラーメン 創刊準備
ラーメン業界というよりは、日本の料理業界の中でもっとも期待している花研のばんからラーメンチェーン店の会員メディア(食べる人クラブ)の創刊準備をしている。
なんとなく、沖縄問題から集団的自衛権まで平和憲法の考え方が揺らぎ始めている。そんな中で、いわゆる国境なき料理屋さんとでも言おうか。ラーメン業界の海外進出は、頼もしいばかりで心の底から応援しなくてはならないと考えている。
ばんからチェーン店の社長の草野さんは、何と言っても苦労人で、そこからくるキャリアにもよるのだろうが、判断が早く、想像力に富み、おそらく未来は料理業界に留まっている気がしない。
翻って、日本も他国も料理を縦横無尽に受け入れ、フランス料理からイタリア料理、さらには南米のチリやひいてはアフリカの料理屋まで百花繚乱である。
「食べ物に国境はない」
しかし、食が原因で人は戦争を始める。ばんからラーメンは、考えてみれば外務省の仕事を担いながら、日夜その背脂スープの味を追求しているのである。
2015.03.25
月刊「美楽」2015-4月号
「瀬戸内寂聴」(出身地:徳島県徳島市)
人は、与えられた生命を十分に燃焼し、その才能を発揮し、振り替えたときにできた足跡を線で引いたものを人生とするなら、瀬戸内先生ほどの艶やかな色に彩られた道はないと思う。
二十数年前に嵯峨野の寂庵を訪れて以来、その多岐に渡る活動一つ一つが、私の人生の指南であった。座右の銘は「生きることは愛すること」。この意味も昨今、人から地球、地球から「無」へと昇華しているようにも思える。
2015.03.20
Peaching2015年4月号
Peaching2015年4月号
2015.03.13
父の百人一首
私の祖母にあたる 東きわ は、長寿で102歳まで明け方にニワトリを追っていた。1876年生まれの彼女は、3人の男子と2人の女子を育て上げ、そのうち2人の男子は第二次世界大戦で、海軍士官学校卒の叩き上げとして、マニラへ向かう艦隊の先陣でアメリカ軍の空襲を受け、命を落とした。
たった一人残った父は、東家が途絶えないように海外へ留学し、終戦後、帰国し、家を継いだ。きわは、明治時代の教師だったこともあり、とりわけ末弟の父には厳しい教育を施したらしく、中でも筆の修行に関しては、夜を徹して教えていたらしい。
父が30年ほど前に、百人一首を描き上げた。何日かけたかは定かでないが、2年ほどかかったとのこと。
芝パークホテルの青木さんのお力添えで、その作品を館内の和食店「花山椒」の壁に張り付けて貰った。足の悪い母が上京したときに、父の作品を喜んでくれるか、それとも「花山椒」の焼き魚に気がいくか分からない。
2015.02.09
Fine Tuning♪ 撮影:指揮者・原田慶太郎氏
歌い手が聴衆と同化した瞬間に、会場は静まり返った。
すべての呼吸が止まり、瞬きする音すら聞こえない。
まるで、動きの止まったモノクロームのフォトグラフのような瞬間が静止している。
傑作を生むのは、作曲家でもなければ、聴衆でもなければ、音楽でもない。
音というものが昇華して、何かのはずみにすべての「あたり」を融合するのだ。
やがて、生も死も存在しない、永遠というサムシングが聞こえるような気がした。
(月刊「美楽」2015年3月号より)
2015.01.29
浜松町貿易センター開発中
浜松町貿易センタービル開発中の写真である。アベノミクスであろうがなかろうが、浜松町は昭和30年代(1960年代)から明らかに東京だけでなく、日本の玄関である。羽田空港を利用して海外から来る旅客者の数は、昨年で約700〜800万人ともいわれ、浜松町はそのモノレールの始終駅でもある。その上に聳えるのが、貿易センタービルである。
みなと区だよりによると、すべての工事が完成するのが2028年。二つの高層ビルが立ち上がり、それにより周辺地域の開発も一気に進むらしい。
増上寺の屋根をすべり抜けるようにして、富士山からの霊風があたり一体に渦をまいて裏通りにある小さな喫茶店から東芝やNECなどの大企業まで、大いにこの工事現場の恩恵を受けることになる。
工事現場の写真を定期的にレポートしたいと思う。
2015.01.26
汐留の動物園
汐留のパークホテル東京の25階のフロント脇のレストランは、今日本で一番楽しい動物園である。林総支配人の遊び心と人を喜ばせるセンスには驚かされる。
今回のテーマは「冬の動物園展」と題して、レストランのダイニングテーブルの横や、壁際やコーナーに、鳥や動物のつくりものアートが飾り付けている。
そもそもこのフロアは、空に抜けるように高く、普通でも心地よくミルクティーを飲めるのだが、その解放された空間に装飾をするという発想が何とも喜ばしい。そんな林総支配人から物腰やわらかく、
「少し遊んでいってくださいよ」
と、部屋のパンフレットを差し出した。いくつかの部屋にはどうも中世の清の時代の漢字をベースにした部屋に仕上がっているらしく、壁には巨大な屏風や書が掛けられているようだ。
東京オリンピックが開催されると、汐留エリアは間違いなく数十万人の観客を迎え入れられることになる。ただ寝て、休んで、食べる、だけのビジネスホテルも悪くないのだが、何度も訪ねてみたくなる大人の娯楽空間として、アートをテーマとしたこんなホテルも東京という街の評価を高めてくれる。
※平成26年3月末現在の旅館業の営業許可施設数は、7万9,519施設であり、前年度より893施設の減少となっている。(厚生労働省/衛生行政報告例より)
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