COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2007.03.20

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第9号 ゴルフ場を公共施設に 『ゴルフ場倒産件数54件/年』

 2000年前半に負債1000億を超える超大型倒産が相次いだゴルフ場だが、2006年の倒産件数は54件(帝国データバンク調べ)。1件あたりの負債総額も117億円と、どうやら津波のような倒産の時期が過ぎたようである。

 最近、景気の回復とともに不動産価格も上昇し、06年からゴルフ場の会員権相場が少しではあるが持ち直した。特に大都市近郊など立地条件の良いゴルフ場においては、会員権が急騰。土日の予約が取りにくいコースも出てきている。宮里藍、横峯さくらを筆頭に、女子プロのスターが登場し、いったん消えかけていたゴルフブームに再び灯がともった格好だ。

 とはいえ、ゴルフ場の売り上げには限りがある。1日50組、200人のプレーヤーを入れたとしても、1日当たりの売り上げはせいぜい300万円程度。このあり得ない数字を1年実現したところで10億円にしかならない。
06年のゴルフ場経営者の負債総額は6355億円にも上る。

 ちなみにわが国では、現在でも2000を超えるゴルフ場が運営されている。単純平均で、1都道府県あたり40コース。多少の人気回復だけでは、これだけのゴルフ場が生き残れるとは到底思えない。

 だったら、発想を根本的に変えたらどうか。筆者の持論だが、土地の高い島国日本にあって、広大な土地を占有するゴルフ場は本来なら公共施設として設置すべきである。
あるいは、巨額の利益を得た企業が社会還元策のひとつとして、スポーツ施設という名目のゴルフ場を設置、低料金で運営するというのが理想形である。

 高齢化社会に突入したいま、アメリカ並みの安いプレーフィ(2000円ぐらい)で高齢者を受け入れる。あるいは、ふだん自然と接触する機会の少なくなった子供たちに500円、600円でゴルフ場を開放する。
その上で、税制面でもゴフル場法人税の減税化等を図っていくといった発想ができないものか。


2007年3月20月号