COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2007.03.06

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第7号 ながら運転の危険性 『自転車死亡事故年間814人』

 安全だと思われている自転車の死亡事故が急増している。
全国の自転車による交通事故の発生件数は、昨年1年間で17万4262件と、10年間で1.25倍に。さらに、814人の死亡者が出ている。
負傷者は17万4641人(警察庁調べ)。
 
 日本の現在の自転車保有台数は、(財)自転車産業振興協会の調べによると8664万7000台である。つまり、一家に2台自転車があるという自転車大国でもある。

 最近の自転車による交通事故の増加には、どうも最近流行のパーソナルメディアが絡んでいると思えてならない。

 携帯電話や携帯音楽プレーヤーを聴きながら全速力で学校に向かう高校生、携帯電話をかけながら自転車で買い物に行く主婦、2人乗りでメールをうちながら走る中学生。
 こうした『・・・・・・・ながらメディア』の登場により、頭の中はいわゆる非現在な世界となり、赤信号が見えないだけでなく、車や歩行者に対する注意力が散漫になっているのは間違いない。
ましてやボリュームを最大限に上げて走るのだから「危ない」という声や、ダンプカーの大きなクラクションすらも聞こえないであろう。
 
 自転車はヘルメットもつけない生身の体で運転するだけに、事故で転倒した際に頭を強く打って死に至るケースが多い。
ニューヨークでは、ヘッドホン着用の自転車運転者にたいして、罰金1万円をとるという法令の施行が検討されつつある。

 関係業界の利権もさまざまに絡んでくると思われるが、警察庁は自転車運転時のパーソナルメディア利用を禁止する条例を定めるべきだろう。


2007年3月6日号