DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2009.12.27

第46号 具志堅 用高氏と思い出雑談

 具志堅 用高氏に、「東さん、久し振りですね」と声を掛けられた。
世界戦まで、後3分。場内は、亀田コールと、内藤コールが交差して
まるで、サッカーの会場のようだ。

「まだ、安比は、滑れますか」
「そう言えば、具志堅さんにも、滑りに、何度か来ていただきましたね」

「しかし、ボクシングも変わりましたね」
「アイドル化しすぎて、なんか照れくさい感じですね」
「東さんは、どちらが、勝つと思う?」
「実力が、互角だから、判定あかな」

この人の時代のボクシングは、何処かペーソスがあって、
勝っても、負けても、人間の評価がそこに付いていた。
負けたけど、いい選手。強いけど、好きになれない奴。

 後楽園ホールの歩道橋を、まだ始めて間もないボクサーが、
目を赤く腫らして、うつむき加減に、渡っていく。
すれ違う、若い恋人たちは、ボクサーに気がつかない。

”モノクロのボクサーの肩を、女の子の原色のマフラーが、
撫でていく。”

 男が少なくなった日本。
がんばれ、ボクサー、男は失うことを恐れるな!