DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2011.05.20

第14号 魔都上海にて

 上海へは、久し振りの旅。空港から市内へのハイウェイは、整備され、平行して話題のリニア地下鉄が、市街地へ向って時速400キロで、走っている。
相変わらずの曇天、空は湿って濁り、重たい空気が充満している。
少し近代的な建造物がところどころに散在している。上海万博で話題になった会場がチラホラ。それも昨年の熱気を忘れたかのように、寂しい存在感のままに既に過去となってしまった静寂の中に佇んでいる。

 花園飯店に着くと、ホット一息。ここは、ニホンジンの資本(血)が流れているホテルだけに、安心感がある。
 旅人は、何処かで、見慣れた光景や、吸いなれた匂いを探しては、疲れを解すのだろうか?・・・・・・久々に日本語を聞いた気がした。

 昔、ダイエーの中内会長と散歩したストリートを探しながら1時間歩いた。この町独特の、海風に混じる排気ガスを堪能しながら、浦東の見える川沿いを、歩いた。36度もあるのに、皮膚が東京のままで、気候に同化しないせいか、汗さえもこの町に遠慮して、飛び出さない。

 昔、日本人を始めとした、貪欲な資本家は、汚職を筆頭に、賄賂と賭博と、麻薬と、売春と、この町を汚染した。「魔都」上海。
 スリリングなスピードで発展?変化する町の裏通りには、そんな経済的な演劇など興味すらないような顔をした貪欲で逞しい老人たちが、「世界の方向と、風向き」占っている。




2011.05.20

第13号 月刊「美楽」13号

『輪ゴム』
 蚊の鳴くような声に耳をそばだてていると、田んぼのくすんだ風に乗って、いつもの来訪者が狙われている。幸せを運ぶ者と、幸福になりたいものはいつも罪なく、両立する。

 ツバメは数年来、巣を大きくしながら夏を楽しみやってくる。僕の人差し指が震えるのを見て、三毛の子猫が、驚いている。