DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2011.01.22

第3号 銀座アカデミー賞

 銀座らしくない夜。
 買い物をする人の影もない。
 首筋の冷える夜が続けざまに1月を通りすぎている。
 冬眠すら安心して出来ない夜が続いている。
 シャッターの降りた松坂屋の前で僕は車の窓を下ろして耳を傾けた。

 サックスの美しい音が銀座の中央通りに流れている。
 歩道を歩く人が、何人か足を留めてしまう。音。
 何年前から吹いている錆つきそうなそうなサックスで、「ムーン・リバ  ー」を奏でている老人。
 チョコレート色の、サックスケースには、楽しげに穴があいている。
 まだまだ、東京は捨てたもんじゃない。
 凄いミュージシャンが、ふらりと、音を出せるじゃないか。
 


 こんなライブが聴けるなんて、今夜は昔の事でも思い出そうかな。

 「風に吹かれて、気持ちよく歌っていた頃の事」