DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2008.10.20

第38号 月刊「美楽」11月号発行

「焚き火」

 枯葉であろうが新聞であろうが、衣服であろうが、極端に言えばタイヤであろうが機械の一部であろうが、すべては煙になるか、灰になるか、水になるか、酸化して眠りにつくはずである。

 枯れ木を集めて、火を焚く。路地からの風に戸惑いながら、時には神経質に、あるときは冬の木枯らしを避けながら頑固に、それなりの煙が天に昇っていくのを眺めていると、自分自身の肉体も、その中にある精神や思い出も、薄らいで消失していく。

 人間は何故、所詮灰になるはずなのに、“もの”ばかり欲しがるのであろうか。