DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2003.03.10

3月10日(月)東京国際フォーラムで、1960年代のスーパー・スタークリフ・リチャード(以下クリフ)のコンサート観賞。(写真参照)

 三瓶氏のお誘いもあって、実はこの興行には僅かばかり「夕焼け創造研究所」からも出資をしている。というのは、クリフには一昔前に縁(思い)があって、リクルートの宣伝部の時代に「週刊B−ING」のラジオCMで彼の「EARLY IN THE MORNING」をBGMに使わせてもらったことがある。
ウォールト・ディズニー氏や、フォード氏の若い日の挑戦的な仕事への姿勢を文章にしたコピーの向こうに、クリフの透明で説得力のある声、ドラマチックな弦とピアノがよく似合って、抜群の効果を発揮していた。このCMを聞いた人はきっと励まされる。そんな風に自画自賛していた作品で、今考えても僕が今まで携わった広告の中で、一番のお気に入りである。


 62歳という高齢のせいではないのだが、コンサートは2部制になっていて、後半に入り鳥肌が立つような往年のヒット曲が続き始めた。「YOUNG MAN」を歌い始めた時は驚いた。会場の何処にいらっしゃったのだろうかクリフと同年代のご婦人方がおのおのの手に花束や、プレゼントを持って舞台に殺到したのだ。この光景はジャニーズも真っ青・・・・・・・だろう。だってキム拓が30年後にこれだけのファンを引っ張っていくなんて奇跡に近いだろうから。


 最近の広告を見ていて、自分(会社、宣伝部、CFプランナーなど)の言いたい事ばかり、会社や商品の主張ばかりに工夫して、お金をかけているのは解かるのだが、気分の良くなる作品が少ない。もう一度見たくなる様なCFには殆どお目にかかれない。しかも、BGMや、サウンド・ロゴに至っては騒音に近い“音量の競争”だ。
見る側、聞く側の気持ちが不在のままの一方的なクリエイティブが、制作担当者の直情のままに放映されている。
TVのスポットCFなどのその品のなさには、涙か出てくる。心を打たないばかりか、見ていて不愉快なCMは広告効果も少ないし、その企業や商品に嫌悪感さえもたれる。(署名つきCMなんかも、いいんじゃないかなぁ・・・・・?)


 クリフの今回のコンサートはカメラも花束も、プレゼントも持ち込み自由。
したがって、東京国際フォーラムの5000人収容の大ホールは、小さな町のライブハウスという感じで、何処となく暖かく、ステージとの精神的距離も意外なほど近かった。


 聞き手(お客様)を大切にしたクリフの“大人のサービス”に若い日の思い出にたっぷりと浸った女性もたくさんいらっしゃった。