DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2003.02.07

2月7日(金)昨夜、アルバムジャケットの撮影が中止になったこともあって、夕方からホテルにて、再度次回撮影日の打ち合わせ。

 CPUの福田君に久しぶりに仕事をお願いして、アルバムのデザインを楽しみにしていたのだが、僕のスタッフのスケジュールが上手く取れず、ギリギリでキャンセル。深夜AM2時の出来事だった。そもそも多少の時間のずれは忍耐強く我慢すればよかったのだが、このところの、仕事過多もあって、イライラしてしまい、自分の顔がとてもカメラの前で作れる気がしなくなってしまい、突然中止宣言をしてしまった。外の温度は4度、寒い中待っていた連中はがっかりしたろうな・・・・・。


 海に近い三角州に流れ込んだ川が黒くゆったり流れている。


 天王洲アイルに掛る橋の欄干の両側のイルミネーションが闇に浮かび上がり、冷え込んだ明け方の空気を吸いながら、橋の真ん中を一組の恋人らしき男女がゆっくりと向こう岸からやってくる。


 寝静まった明け方の街は、今はやりの高層ビルと倉庫を化粧直ししたようなカフェ・バーがあるせいか、週末の夜は人でごった返す。
しかし今の時間帯は彼ら二人しかまったく存在しないかの様だ。


 橋を渡り終えるところで男がタバコに火をつけた。ライターの明かりでサンド・ベージュの厚手のコートの生地がくっきりとした時、さっきまで男の横に寄り添っていた女の姿が不意に消えた。


 まるで切り絵を貼りあわせたように、男の肩の向こうで女の全身が重ねった。


 きっとずっと以前に、この橋で二人は出逢い、この橋で恋をした。男はこの橋を「記憶」の道を辿るためにやってきた。・・・・・・・・


 こんな設定のジャケット写真を想定している。よって、結構神経質なのだ。


 アルバムの方は、「疑問」、「記憶」の2曲が完成。「伝説」という3曲目がほぼ収録を終えた。来週から、ジャケットのカバーの進行が始まる。5年ぶりの作品だが、今まで制作した中では、一番感じているものの表現に熱が入っている。

 パートナーが、昔からの友人だったのがここに来て、僕の救いになっている