DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2002.08.10

8月10日(土)東京湾花火大会

東京湾花火大会の日は、いつも南西からの風が強くなるような気がする。そしていつもこの時期になると珍しい人と出会う、しかも何年ぶりに。
昨日もひょんな出会いがあった。福岡ドームのイベントを企画していた時代に銀座に「R‘S CAFE」という店が在った。そこで働いていたM氏と偶然に仕事場のあるマンションの玄関であった。あまり東京駅に人など送ったことなど無いのだが、京都に住む友人に頼まれていたベッカム選手のサイン入りユニフォームを額入りにしたものを渡し、新幹線までお送りし汗まみれになったため一度シャワーを浴びようと戻った瞬間の出来事だった。“分刻みの運命”を感じるな。
考えてみれば、事務所のあるマンションは東京湾が一望できる景観(特に夜景が美しい)評判で、作家や、政治家、音楽家や、芸能人、さらに得体の知らない成金が年がら年中出入りしている。その内に、顔見知りや、仕事のクライアント、ひょっとすると学生時代の同級生なんかとも偶然エレベーターの中で顔を会わせる事があるような予感がしていた。M氏が恵比寿で約束があるのに、タクシーが来ないと困っていたので送っていくことにした。天現寺の交差点を左折するあたりで、昨晩編集したテープは山梨遼平氏の「再会物語」に変わっていた。
花火大会の交通規制の影響で見物客はまだ晴海や芝浦や品川埠頭の辺りをうろうろしているのだろうか?普段の土曜日より閑散としたホテルのロビーを急ぎ足で駆け抜けて、事務所の冷蔵庫の中の冷やした水を一気に飲み干した。備え付けのラジオのチャンネルでBGMを選曲した。館内放送と同じ音楽が部屋の片隅に流れている。詩のついた音楽は好きでもない情景を思い浮かべるし、かといってニュースは煩わしい。無味乾燥で、気楽な音が聴きたかった。部屋の温度を23度に設定すると、川の水が干上がるように、流れていた汗が幾筋もの塩を残しては下着に吸い込まれていく。窓際のパナマ・ハットがふわりふわりと夜空に浮いて、繊細なバナナの様な月の先端にかかった様に見えたのは、心地よい睡魔のせいだった。
橘君に感謝、それとM氏にも。汗みどろのコミュニケーションに感謝。