DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2002.08.02

8月2日(金)宇宙全体のストレス

宇宙全体のストレスという黒い低層雲の塊に立ち向かい、6000尺の雷刀の鞘をかざし暴れる武将。何年かぶりの激しい雨が芝公園のあたりを叩きつけている。いやになるほど熱かった夏を我慢していただけに、空を破いて地べたに突きさしてくる雷の音もめったに怒らないおとなしい女性が何万人も束になってヒステリーを起こしたように鋭く甲高い。ヒートアイランドも、すこしは冷静さをとり戻し、今夜あたりは、眠れる夜になるだろう。
昨夜は、麻布十番の「がいがい」で焼き鳥をつまんだ。渋谷あたりを首都高で走るころはもう朝の日差しに反射した入道雲が高層ビルの上層階を銀色に白くしていた。仮眠して朝8時に起床、かなりの睡眠不足状態で握力が落ち、やっとの運転で東京プリンスに駆け込んだ。日本住建の梅木さん、T・アライブの橘君、KTVの田中さんJUMPの梶田社長、飯野ドラッグ・飯野代表、大木の松井社長、IEの西沢さん、立て続けに7つの会議、それもそこそこ新企画ものが多いため、頭の中に残っているすべてのエネルギーを使い果たした。
最後の一滴というのは栄養ドリンクの底に沈殿したエキスの固まりと同じで土壇場の爆発力がある。半ば夢遊病に近いので想像力が現実を飛び越えてしまい意外と思い切った言葉が次々と口から流れて舞う。
まだ夕方の4時半だというのに徹夜明けの朝のように脱力し、窓をボーット眺めている。けたたましい閃光が芝浦から東京湾にかけて壊れた三角定規を重ねたように乱射している。そっと窓を開けると、急に温度が下がって爽快だ。プールの水色が張りかえられたタイルのように美しい。一人で泳ぎたいなぁ。
少し眠たくなった瞼を擦ると嵐が遠ざかっていくのが見えた。夕方6時30分。今夜の銀座のネオンは、今年一番澄んで見えるだろう。