COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2008.07.14

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第68号 安価な中国産も値上げ削減運動に弾みつくか 『割り箸の消費量.年間250億膳』

 日本人が使用する割り箸の量は、なんと年間250億膳。1980年代に台頭したファストフード系の飲食店、弁当屋、持ち帰り寿司、コンビニなどの影響もあり、1人当たり年間200膳近くを消費している計算になるという。

 最近では、一流料理店などでもマイ箸、あるいは箸のキープなどが始められており、割り箸の使用量を減らそうという環境保護の意識が見受けられる。しかしながら、現在のところ削減される割り箸の量はその1%程度にしかならない。それでも2億5000万膳で、ゴミの量に換算すると年間650トンの減量にあたり、「箸も積もればCO2の削減」につながるともいえる。

 さて、この割り箸の大量生産の歴史は長く、大正時代にはすでに始まっていて、太平洋戦争後半に一時期生産中止になったものの、60年ごろからの日本人の外食化傾向により、生産量は急増した。国内の割り箸製造は、安価な大衆箸主体の北海道と、高級割り箸を主に扱う奈良県が中心で、98年にはこの道県で国内生産の70%を製造している。

 ところが90年以降、海外からの安い割り箸が大量に流入してきたために、北海道の生産業者が壊滅的なダメージを受け、今では国内製造のほとんどは奈良県産。その奈良県でも生産量は30%程度に減少した。

 国内の生産量は4億5000万膳(林野庁/2005年度)と推定される一方で、海外からの輸入は245億膳と、そのほとんどを海外からの輸入に頼っている。輸入先は低価格を実現した中国が断トツで、全体の99.7%を占めている。

 その中国での生産制限などもあり、1膳0.8円程度であった割り箸も、現在では1.6円程度に跳ね上がった。たばこ同様、近未来的には、割り箸の高騰も避けられないのだろう。かといってナイフとフォークで丼物を食べるわけにはいかない日本人にとって、食文化に大きく影響しかねない状況まできている。

 近々、割り箸廃止運動やレストランや食堂で割り箸が別料金となる日が必ずやってくる。


2008年7月15日号