COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2007.11.20

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第39号 2年連続減少「焼酎ブーム」の行方 『焼酎市場3326億円』

 帝国データバンクによると、2006年の焼酎メーカー上位50社の売上高合計は、3325億7800万円となり、対前年比1.4%減となった。2年連続で前年割れである。上位50社のうち、九州・沖縄地区の企業は前年と同じく43社。このうち増収企業は前年の35社から9社減って26社となった。

 売上高トップは、麦焼酎「いいちこ」を擁する三和酒類、2位は「博多の華」「鍛高譚」を擁するオエノングループ、3位は「白波」を擁する薩摩酒造だった。

 最近の焼酎市場を引っ張っているのは、芋、麦、そば。県別のメーカー数を見ても分かる。1位が芋焼酎を主力とする鹿児島県勢。2位は麦焼酎を主力とする大分県勢、3位は芋・そば焼酎主力の宮崎県勢という順番になっているのだ。

 ご存知の通り、04年にピークを迎えた焼酎ブームは、2年連続で前年実績を割ったものの、03年以降、いまだに清酒の出荷量を上回り、消費者に定着したことは間違いない。当時は健康ブームをベースに焼酎ブームをつくったが、マーケットが急激に拡大したこともあり、原料の芋不足のため出荷量を制限した。昨今では、耕作面積の拡大などで芋不足については解消されたもよう。

 一方で、原材料価格の上昇と海洋投棄禁止による搾りかすの処理費用の増加で、値上げの動きも出てきている。価格に敏感な消費者の今後の動向が注目されるところだ。

 それだけに、今後は首都圏や関西圏、東北地方、北海道エリアへのマーケテイング戦略が安定成長のカギになる。加えて、韓国、中国、ベトナムなどへのアジアマーケットへの目を向ける必要も出てくるだろう。

 鹿児島出身の私が利用する鹿児島空港のみやげ物売り場には焼酎がズラリと並ぶ。そのラベルがこの3年間で4倍にも5倍にもなっているように思える。マーケットが一気に拡大して経営者が傲慢になると、ブランド戦略を怠って商品構成が複雑になり過ぎるケースがある。身を引き締めて、むしろ主力商品を強化することが今後の安定成長のカギとなるはずだ。


2007年11月20日号