COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2007.10.16

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第34号 買うから借りる時代に 『レンタカー35万5000台』

今年の夏休みに北海道でゴルフツアーを考えて、札幌からレンタカーを借りようと思ったが、まったく予約ができなかった。調べてみると、実は日本全国でレンタカーは大賑わいなのである。

 全国レンタカー協会の調べによると、2006年3月末の国内レンタカーの台数は35万5000台。前年度末より7%増加。なんと10年前の1.4倍になっている。

 かたや06年の新車の販売台数(軽自動車含む)は、05年に比べ4.1%減の561万8500台と20年ぶりの低水準。今、日本人は目覚めたかのように、「車は買うより借りた方が得かつ合理的」という考えに変わってきたのであろう。個人だけでなく、ビジネスシーンも同様だ。

 これはガソリンの高騰も関係している。1バレル=100ドルを予測する経済学者もおり、そうなるとレギュラーガソリンの価格は1リットル=200円を越す。加えて駐車場代やら保険、車検費用などの維持費を考えれば、マイカーを手放し、必要な時だけ借りるレンタカー派が増えてもおかしくない。毎月の会費と利用時だけ料金を支払えば済むカーシェアの動きも加速していくだろう。

 さて、買うより借りる時代の到来で、もうひとつ重要なことは大量生産、大量消費の不合理な経済体制にくさびを打つことが出来ることである。壊れかけたこの国のコミュニテイーを再生産する意味でも、レンタカーをはじめ、めったに使わないものを共有で購入するというのは納得のいくシステムであろう。

 その一方で、お隣中国では昭和60年代の日本と同様に、競い合うように車とマンションが売れている。モータリゼーションが本格化してきているのだ。レンタカー志向の高まりと国内の新車販売低迷という事態が続けば、日本の自動車メーカーの中国依存度はますます高まっていく。


2007年10月16日号