COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2007.07.03

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第23号 ブログ大国の虚実 『日本語ブログ37%/7200万件』

 日本は世界でも名だたるブログ大国だ。

 世界中に存在するブログの総数は7200万件を超え(米テクノラティ社調べ)、来年には1億件を超える勢いである。そのうちの37%が日本語(日本人)で占められ、英語のブログの36%を上回り、世界1位となっているのだ。

 ネットの影響で活字離れが指摘されて久しいが、若者たちの間に文字に親しむ現象が起きている。それも絵文字、顔文字などネット社会ならではの独自文化が広がっている。

 コミュニケーションツールとしてのブログは、旧来の媒体を凌駕しつつある。たとえば、普通の感覚であれば、「愛する」という言葉をメールの活字で打つよりは、手書きの手紙で送ったり、日記にしたためたほうが、その思いは遥かに深く伝わるし、残ると思う。が、今はコミュニケーションが軽薄化しているせいか、ブロガーが愛用する「IT活字」が主流だ。

 ブログをめぐっては、さまざまな事件も起きている。掲載した内容に反発する連中が非難、中傷の類のメールを集中的にに送りつけ、機能停止や閉鎖に追い込む「炎上」が後を絶たない。ネット社会特有の歪んだ現象だ。ブログは、個人が事由に表現できる場であるとともに、集中砲火のリスクが付きまとう場でもあるのだ。

 その一方で、個人情報保護法がとやかく言われる時代にあって、自らの情報を写メールや絵日記で公開するという神経には、どうにも納得できないものがあるのも事実だ。政治家やタレント、文化人までもが、自らのプライバシーのヒントになる情報を公開している。そのおぞましさ、下品さを感じるのは私だけだろうか。そこには、ギリギリの情報を露出すれば、反応は一段と大きくなる、人気化するという誤解が存在しているように思える。

 いろんな問題をはらみながらも、ブログ文化が着実に浸透、育っているのは間違いない。それが社会のコミュニケーションをより多様化し、重層化していくことになればすばらしい。そのためには、リスク回避策や最低限のルールづくりが欠かせない。ブロガーの知恵の出しどころだ。


2007年7月3日号