COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2007.06.19

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第21号 スキミングの怖さ 『クレジットカード不正使用被害額105億円/年』

 休みを取っていた日曜日の午前中、突然、カード会社から電話が入った。まさかとは思っていたのだが、偽造カードの不正利用による被害にあっていた。本当の話である。

 クレジットカードの不正使用の被害額は、平成18年度には年間105億円超。そのうち半分は偽造カードによるものである。特にスキミングといわれ、キャッシュカードの裏側の磁気テープのデータを読み取る行為が後を絶たない。カード所有者もまったく知らない間に高額な商品を買った事にされてしまう。置引きにあったり引ったくりにあったり、車上狙いと異なり、ごく普通にクレジットカードを利用し、精算時にスキミングされ、カード会社からの請求書を見て青くなるまで気がつかない。

 このスキミングには、CAT(クレジットカード使用時に使われる信用情報紹介端末機)の中にスキマーが仕掛けられているパターンと、店員が店の奥に持ち帰りハンドスキマーを使って顧客情報をスキミングする手口などさまざまである。

 過去に、ゴルフ場でのロッカーに監視カメラを設置し、プレー中にロッカーの中の財布からキャッシュカードをスキミングする手口もあったが、この手口も最近はさらに悪質化している。
あらかじめ仕掛けたスキマーを無線で操作するという、窃盗犯からすれば極めてリスクの少ない犯罪となっているのだ。
かつては海外での被害が多かったものだが、今ではむしろ国内のほうが危険地帯といえる。

 いずれにしてもスキマーをCAT内部に設置するという作業が必要なわけで、ゴルフ場や飲食店、ホテルなど犯人が事前に忍び込む必要がある。カード決済のできるすべての店は、もっともっとセキュリティーを強化しなくてはならない。

 ちなみにクレジットカードには盗難保険がついており、60日から90日間の保険適用期間内に不正使用されたと申し出れば保険が適用される。

 オレオレ詐欺の被害総額と偽造カードによる被害総額が合わせて500億円を超える犯罪大国ニッポン。カードを持つことは、今ではステータスというよりリスクですらある。
カード会社にはスキミング撲滅の対策を一日も早く講じてもらいたい。