COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2007.06.05

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第19号 この20年で半減 『公衆電話39万台』


 最近、公衆電話を使ったことありますか?

 1900年に国内で初めて公衆電話(当時は自働電話といった)が登場してから約100年が過ぎた。今では、街中でも探すのが大変なくらい見かけなくなった。採算の取れない公衆電話は撤去されていくからだ。

 NTT東日本・西日本によると、NTTが発足した1985年当時に91万台あったが、06年3月末には39万台と半減した。どうりで見かけなくなったわけだ。
減少の理由はハッキリしている。携帯電話の急速な普及に伴う利用数の激減だ。当然、公衆電話事業は大幅な赤字。05年度には144億円に達したという。

 収益性を考えれば、赤字事業を継続するのは困難だ。しかし、公衆電話ならではの役割があるのも事実。災害時の緊急連絡手段がその最たるものだ。
 
 たとえば、新潟中越地震の時も携帯電話がまったく回線使用不可能となり、一般電話も断絶し、緊急連絡を必要とした人々が集まったのは公衆電話だった。公衆電話は地震などの非常時に、一般電話や携帯電話が規制されても、つながりやすい「優先電話」の側面を持っている。そのため地震の時の避難経路などを記した防災マップに、公衆電話の場所が記されていることも多いし、いざというときに電池が切れたりもしない。
また交通事故や犯罪などの緊急時の通報にも役に立つ。

 普段は携帯を家に置き忘れたときぐらいしか、思い出さない公衆電話だが、その存在価値は大きい。道路や水道、ガス、公園、トイレと同様に、なくてはならない社会的インフラなのである。

 どうしたら公衆電話の減少に歯止めをかけられるか。それには災害時、緊急時以外の利用メリットを打ち出すことが欠かせない。
低料金だけでは勝負にならない。たとえば、大型のディスプレーを装着して、番号をプッシュするだけで必要な情報をプリントアウトできるようにするとか、携帯よりも便利な新サービスは考えられないのか。知恵の出しどころである。


2007年6月5日号


2007.06.05

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第19号 この20年で半減 『公衆電話39万台』

 最近、公衆電話を使ったことありますか?

 1900年に国内で初めて公衆電話(当時は自働電話といった)が登場してから約100年が過ぎた。今では、街中でも探すのが大変なくらい見かけなくなった。採算の取れない公衆電話は撤去されていくからだ。

 NTT東日本・西日本によると、NTTが発足した1985年当時に91万台あったが、06年3月末には39万台と半減した。どうりで見かけなくなったわけだ。
減少の理由はハッキリしている。携帯電話の急速な普及に伴う利用数の激減だ。当然、公衆電話事業は大幅な赤字。05年度には144億円に達したという。

 収益性を考えれば、赤字事業を継続するのは困難だ。しかし、公衆電話ならではの役割があるのも事実。災害時の緊急連絡手段がその最たるものだ。
 
 たとえば、新潟中越地震の時も携帯電話がまったく回線使用不可能となり、一般電話も断絶し、緊急連絡を必要とした人々が集まったのは公衆電話だった。公衆電話は地震などの非常時に、一般電話や携帯電話が規制されても、つながりやすい「優先電話」の側面を持っている。そのため地震の時の避難経路などを記した防災マップに、公衆電話の場所が記されていることも多いし、いざというときに電池が切れたりもしない。
また交通事故や犯罪などの緊急時の通報にも役に立つ。

 普段は携帯を家に置き忘れたときぐらいしか、思い出さない公衆電話だが、その存在価値は大きい。道路や水道、ガス、公園、トイレと同様に、なくてはならない社会的インフラなのである。

 どうしたら公衆電話の減少に歯止めをかけられるか。それには災害時、緊急時以外の利用メリットを打ち出すことが欠かせない。
低料金だけでは勝負にならない。たとえば、大型のディスプレーを装着して、番号をプッシュするだけで必要な情報をプリントアウトできるようにするとか、携帯よりも便利な新サービスは考えられないのか。知恵の出しどころである。


2007年6月5日号