COLUMN:日刊ゲンダイ「数字のホンネ」

 

2007.04.10

日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第12号 “ハデ婚”復活の兆し 『結婚式費用397万円』

 最近のカップルが、新婚旅行までも含めた結婚式にかける平均費用は、397万円(06年)と、再び増加傾向にある。
これは結婚情報誌ゼクシィの調査結果だが、前年よりも15万円アップした。

 景気回復ムードの中で、ひところはやったジミ婚は敬遠されているのだろうか。しかし、格差拡大で先行き不透明の時代の中にあって、若いカップルにとって400万円は極めて重いコスト負担である。

 数字をよく見ると、結婚式に際して親や親族からお金を借りた人が全体の75%を占め、平均援助額は約180万円である。としても200万円以上が、若いカップルの負担になる計算だ。もちろん、お祝い金で相当額は回収できるだろうが。

 気になる結婚費用の内訳を見てみると、増加の原因がハッキリ浮かび上がってくる。結納や会場費、婚約指輪代などは前年とあまり変わっていないのに、挙式、披露宴・パーティーの総額が跳ね上がっているのだ。招待客数は約75人で一緒だから、1人当たりの披露宴・パーティ費用が4万円から4万6000円にアップ。ハデ婚が復活し始めたかのようだ。

 本人たちの意向で華やかさを求める傾向が強まっているのか、親族の顔を立て、会社の上司の顔を立て、しかたなしに高額な結婚式に望んでいるカップルが多いのか。
定かではないが、本当に必要なコストなのか、疑問に思えてしかたがない。

 だいたい、いまや年間の離婚件数は26万組にも達する。結婚して5年未満で別れる人の数が4割近くになることを考えると、結婚式の高騰化を喜んでいるのは結婚産業だけではないか。

 友人のJTBメディアクリエーションの平尾政彦社長が「モバイルバード」という、パソコンや携帯から挙式や披露宴に参加するという商品を扱っている。遠方からはるばる出席するコストがかからないし、老人や体の不自由な人にとっても、実に合理的な商品である。こんなスタイルがあってもいい。

 手弁当で友人とパーティー形式の披露宴を行い、余ったお金をお世話になった母校や社会福祉施設に寄付するぐらいのカップルはいないものだろうか。


2007年4月10日号