2007.01.23
日刊ゲンダイ「数字のホンネ」第2号 邦画躍進の支え役 『映画公開本数800本』
約800本。2006年の映画の公開本数(見通し)だ。
薄型テレビの大型化が進み、自宅でDVDで映画を楽しむ人が増えている。このブームは一見、映画産業にとってマイナスにみえるが、実は公開本数は03年の622本から、04年=649本、05年=731本と毎年増加しているのだ。
こうした中、06年は邦画の興行収入が21年ぶりに洋画を上回ることが確実視されている。
公開本数が増加した理由のひとつに、女性監督の台頭が挙げられよう。
「ゆれる」の西川美和、「かもめ食堂」荻上直子など才能あふれる若手監督のスマッシュヒットも記憶に新しい。
もうひとつの理由は、ファンドをはじめとした資金面での仕組みが出来始めたことである。それぞれのファンドは、○○製作委員会という名前で映画の予算を確保。膨大な予算が必要な映画という産業の下支えができているのだ。
そして、このファンドが資金回収の目玉としてとらえているのが、セルビデオやDVDの販売による第2次販売収入である。コンビニや、TSUTAYAなど販売供給先が多様化してきたことで、第2次販売収入が確保されつつある。
以前であれば、公開後1年から2年で民間のテレビ会社に放映権を売ってオンエアされるのが普通であったが、最近は公開されてから2、3ヶ月でDVD化され、店頭に並べられる商品も少なくない。話題性のあるうちに商品化されることで、客が飛びつくというわけだ。
このトレンドでいうと、公開日にDVDで販売する、あるいは公開よりも先にDVDが販売される、といった日も遠くないように思われる。
ちなみに国内の映画館の数は約2900(05年)。入場者数は約1億6000万人(同)で、前年の94%にとどまった。邦画の健闘で06年はどうなるか。
最近の傾向からハッキリしてきたのは、家庭でのDVD鑑賞が映画産業を下支えしているということ。なんとも皮肉な現象ではないか。
2007年1月23日号