DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2014.04.07

日刊ゲンダイの裏の桜

 この時期になると、東京のあちらこちらというよりも、ほぼどこの空き地にも桜の花が咲く。
 桜の花びらが開花するのは、その年の元旦の温度から累積し、ある一定の温度を越えると自動的に且つ機械的に開花すると唱えている学者がいる。その科学的根拠は別にして、人もまるで桜の花びらのように、一斉にその成果を競い合う事で傷つけあっている傾向がこのところ甚だしく目立つ。
 
 花見によく集うのは、ソメイヨシノである。しかしこの桜には少し問題点がある。山桜は、ほぼ3日から7日で一斉に開花し、一斉に花をつけ、顔を見合わせたようにほぼ同時に落下する。ここまでは良いのだが・・・これを人間の命に例え、さらには誤った武士道と交じり、まるで美しく散るのが生き様のように唱える政治家や、軍人や、宗教家がいる。
 私はその意味で、ソメイヨシノはあまり好きではない。山桜のように、しぶとく、散漫に、時にはしおらしく、浪々と好き勝手に咲くのが本来の命のあり方ではないかと思う。
 人は、群がることで影響しあい、失う物の方が意外と多いのではなかろうか。