DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2012.08.10

第31号 安藤勇寿「少年の日」美術館

 安藤勇寿美術館月刊「美楽」の表紙の打ち合わせで訪ねた。
 出会ったときから何年経っただろうか。安藤美術館の周辺の山も、森も、風も安藤先生も変わらない。
 変わったのは、ほんの少し、夏が暑くなっていることだろうか。

 美術館に入ると、十数点新作の絵がかけられていた。
 今回の新作は、今までの作風と異なり、テーマが明確になっている作品が多く、いずれの絵もいわば日本人の教科書にすべき題材をモチーフにしている。

 先生は、色鉛筆で丹念に絵を仕上げるのであるが、想像してもお分かりの通り、白色を表現するのがとにもかくにも、大変な作業となる。何十もの色を重ねながら、色の科学的な調合を重ねた結果、「白」に至る。
 写真にある絵は、画面いっぱいにからたちの花が咲いている。
 花びらの白を恐れずに表現しようと思い立つ。そのエネルギーは凄まじいものがある。

 先生と森の中で、絵の話をしていると、久しぶりに海を見たくなる。