DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2012.06.20

第25号 月刊「美楽」2012-7月号

『紅い空』
 自然が奏でる無限の色彩のどれか一つの色に、心を浸透させていく。すると、まだらで猥雑化した自らの心模様も極限の原色に返っていく。
 少年は、夕焼けの紅を思い切り吸い込むと、肺の中が真紅になるのを感じた。
すると、日没前のオリーブ色の山並みがまるで花びらのように刻々と開き、うっすらと浮かんだ幾つかの星が花弁の中に吸い取られていく。

 我々人間は、心の中に無数の色鉛筆を持っている。