DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2011.04.09

第9号 桜の咲く日本列島

 桜の花が、日本列島を、縦断する。
 数年前から、この桜が開花しながら北上するスピードも、地域も以前とは違ってきているらしい。行きつけのホテルの一番桜は、「琉球彼岸桜」で、早ければ2月の下旬には濃いピンク色の花びらを満開にする。トリにあたる「ソメイヨシノ」が、増上寺の境内を夜空が見えないほどに覆う頃より1ヶ月は早い。
 温暖化と言うよりは、何か地球の下で、ぐつぐつ地熱が滾っているのだろうか?生易しい気候や雲の変化と言うよりも、強力な地底のエネルギーが日に何度も、大地を揺らし、ビルを振り回し、テレビやラジオの音のない瞬間も、天井を見ると、壁が動いている気がする。
 どうも三半規管が、麻痺し、体のバランスが、取れていないようだ。

 今年の桜は、ほんの少し優しい色をつけている。街中のネオンと、看板と、オフィスの窓明かりが、消えた東京で、静に”弔いの声が”聞こえた。
月明りの下で、花びらが、囁いている。
 「東北の仲間が、何本も何百本も根こそぎ海に流されてしまった」
*「散る桜、残る桜も、散る桜」