DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2010.05.16

第22号 さぼうる(御茶ノ水・神保町)の匂い

 「さぼうる(お茶の水・神保町)」で、コーヒーを飲んでいる。とにかく、神保町に行きつけの飯塚歯科があるので、久し振りに顔を出そうと思っていた。
 今日は、安くて速い印刷会社があるので、パンフレットの見本が出来上がるまでの時間に、”ついに30年振り”に、足を入れた。創業(開店)50年位かな・・・店内は、以前のように鬱蒼と暗く、床は”昭和の匂いプンプン”の地べたが、浮き出している。

 お茶の水は、学生の町である。日本に残された最後の活字の街である。一昔前、この町で、精神を高揚させ、思想を学び、血の美しい学生たちは、”連帯”し、日本の将来を考えた。そして、彼らが憂い、危惧したように日本は変貌した。

 いつもは、ミルクティーを飲むのだが、今日はコーヒーを飲んでいる。
久し振りの「さぼうる」では、そんな気分になっていた。椅子の裏側にある
壁は、タバコの脂で焦げ茶色に変色している。
ふと、額にはみ出した小さな写真を、覗き込むと、若き日の筑紫哲也先生が
笑っている。