DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2006.04.15

第18号「オーラを放つ魔裟斗氏の人生」

聖路加病院の日野原先生は、“人生とは、人間が一生に生きている時間そのものである”とおっしゃっている。

恵比寿の撮影スタジオで、この夏発売予定の写真集の追い込みをかけている写真家の清村先生を訪ねた。
天井の高いコンクリート剥き出しの空間に、撮影に使った何十着もの衣装が散らばっていて、たった今、最後のカットを取り終えたばかりの魔裟斗氏は、奥のドレッシッングルームで格闘技とは違うPRという商業的世界の緊張感から開放されて、足を組みながらやわらかい笑みを浮かべていた。

K-1という格闘技は、1ラウンド3分の戦いを、3ラウンド、つまりたったの9分で世界一の強者を決めるトーナメントである。
私たちも実は毎日の時間をどう費やすかで・・・・その蓄積で人生が決まるのであろうが、その9分という凝縮された舞台で魔裟斗氏は、人生を燃焼している。

獲物を追う狼のような獰猛な目と、獲物を食した後の満足げな優しい目との落差が、今回の写真集のテーマである。   
「僕はモデルではなくて、格闘家ですのでこんなスポットライトは苦手なんです。」と、はにかんだ魔裟斗のデリカシーをどう表現するのかは、いまだ解決できない私の課題でもある。
写真集のタイトルは「オーラ」。彼の、微笑みそのものが放つ人生のやさしさと、厳しさである。

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