DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2006.02.26

第11号「亀田三兄弟の二男大毅君のデビュー試合」

のっぺらとした“みなとみらい横浜”は、小雨模様。それでもホテルに隣接している会場に一歩入ると湯気が立っている。何かの始まりを期待している人と、事実を見届けたい人。
兄興毅に続いて、日本中の格闘技ファンとマスコミが注目している二男大毅君の下馬評は、兄貴より自由で奔放なファイター。そして早い左のフックが強い。

協栄ジムとのお付き合いは、福岡出身のテクニシャン鬼塚選手の世界タイトルマッチのプロモートをして以来、そろそろ20年近くなる。今や貫録のついてきたジム会長の金平桂一郎君は、その頃先代の影でロシア選手の発掘の為にモスクワと東京を行ったり来たりしていた。

「東さん、デビュー戦で、TBSさんがON AIRする選手なんて初めてですよ・・・・・・それにこの人・・・・・の数・・・・」

「スター不在だからね。ボクシングだけじゃないですからね。日本全体がスターに飢えてるんですね」

これから登場する大毅君は、ボクシング業界だけの人材ではなく、大袈裟に言うと、日本の若者が吸い寄せられているストーリー・メーカーに違いない。

試合は、ゴングと同時に27秒で終わった。素手に近いメキシコ製の薄い8オンスのグローブで、あのパンチがヒットしたのでは止むを得ない。この日は、日本のスポーツ・シーンがカレンダーのように一枚捲られた日でもあった。