DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2006.02.15

第7号「芝大門更科布屋 季節のおそば」

オフィスにしている東京プリンスから増上寺の庭を抜けて、芝の大門をくぐると旧東海道。
さらに、浜松町方面に50メートル歩いた左側に、芝大門更科布屋そばがある。

芝公園のあたりは、江戸時代の古地図を眺めていても、楽しいエリアだったことを髣髴とさせる。
増上寺の表参堂には、たくさんの露天が並んでいただろうし、街の裏側には遊郭もある。
江戸城に向かう参勤交代の大名達は、蕎麦屋の前で行列の歩を休めると、砂浜に並んだ松(浜松町)の木陰で、“芝海老”を掬う漁師を眺めたり、笊から顔を出す“江戸前のあなご”・・・。それを天麩羅にして蕎麦に浮かべたりしたのだろう。

「芝大門更科布屋そば」は創業寛政というから約200年の歴史を誇る。
此処の名物は、1年12ヶ月わたりそれぞれの月に旬のネタを主人公に取り合わせたメニューである。
今月は、「梅蕎麦」。
ざるに、盛られた薄いピンク色の蕎麦から、微かに梅の香りがする。
いつも同じ臭いのするインスタントとは違って、“今しか食べられないし、匂わないし、飲み込めない”のが嬉しい。

「春が近いな・・・・・表の風は鋭く冷たいけど」

来月は「さくらそば」、ちなみに、冬の名物(12月)は体を芯から温める「生姜そば」であった。