DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2003.02.13

2月13日(木)名古屋の御園座で公演中の、左とん平師匠がたった1日の休暇(公演の休日)が取れるという事で、午前6時の新幹線「のぞみ」に飛び乗った。

 浜松を過ぎたあたりで、太平洋の向こうから車内に朝陽が差し込み、改めてその日差しの強さに春が近いな・・・・・と深呼吸をした。オレンジ色の燭光が浜名湖や水辺のほとりの町を染めているのを見ながら僕は、再び朝の深い眠りについた。


 「クロス・クリーク」というジャック・ニクラウス設計のゴルフ場は、名古屋から豊田市を貫けて50キロの位置にある。とん平師匠の友人の車に同乗、赤字必死のイベント「万国博覧会」の会場や、作りかけの高速道路など相変わらずマイペースの中部経済圏で独自のインフラを生み出す“尾張”の底力を見たような気がした。


 山間の中に作られた川と、バンカーのトリッキーなレイアウト、昨夜からの不安といやな予感が的中しひどいスコアーになってしまった。やはり、初めてのコースは余程の自信がない限り上手くいかない。おまけに40センチほどのパットがぜんぜん入らない。初めてのコースはその自然と景観に飲み込まれ、いつの間にか気合と力が入りすぎ、リズムが壊れ、フォームがまったくばらばらになり、集中力が切れ、終いにゲームを諦める。


 帰りの新幹線は、ひどく脱力し悲しい夜汽車となった。


 気分転換に、銀座の酒場に顔を出した。いつもの店のカウンターの端に腰を下ろした。まださっきの惨めなゴルフが吹っ切れない。なぜ勝負所のパットが何発も連続してカップを舐めたのかなぁ?・・・・・・?


 Y氏が嬉しそうに「名古屋の出張どうでした?日帰りって大変でしょう」

「そうだね、新幹線って意外と疲れるんだ」

「お芝居はどうでした?」

「うん・・・・少し考えさせられたよ」


 12時過ぎに、N君に迎えに来てもらってジョナサンで打ち合わせ。隣のK嬢も久しぶりに僕の顔を見て、懐かしかったのか山ほどの質問を浴びせながらエビフライを食べている。


 何?・・・・エビフライ・・・・・名古屋の名物おかずだ。今日は名古屋で始まり、“尾張”も名古屋だ。