DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2002.09.22

9月22日(祝日・月)恥ずかしながら、最近東京の地下鉄網の便利さに感激している。

 車の鍵を「七面草」に置き忘れてしまい、おまけにもう一台のロリンザーもエンジンが不調でヤナセに入院中。気障に聞こえるかもしれないし、世間知らずと馬鹿にされるかもしれないがこの3日間、久し振りに電車であちこちに移動している。先日は、練馬の江古田駅から新しく出来た大江戸線に乗って大門駅まで30分。車での移動のような渋滞のいらいらもなく、時間通りにしかも、快適に到着。地下鉄だから余所見も出来ないしゆっくりスケジュール帳を確認していると即着いた。この速さは意外だったし、大門駅からどのあたりの地上に顔を出せるのか不慣れなだけにちょっとしたスリルと冒険もあった。


 連休の最終日の今日は、三田駅から青物横丁、大井町から田町までJRに乗った。やはり電車の速さに驚いた。ということは、普段の車での移動はいつの間にか時間遅れのストレスとの戦いになっていたのだろう。無意識のうちに、東京のラッシュに脅えていたのかも知れない。


 先週の週末は、散財した。何が原因かわからないが木曜日は橘君と、金曜日
は銀座で、土曜日は富里で・・・・。取り付かれたものを払うように発散し、消費し、消耗した。


 翌日本屋で「斉藤一人のツキを呼ぶ言葉」を買った。反省の意味もあって。「商人魂」と「客魂」があって、商人魂の創造性は寝ている間に醸成されるそうだ。要は、明確な意識さえあれば人間の頭脳は自動的に意識の方向に作動し、寝ている間にアイデアや企画を練りだすということらしい。マーフィの法則より泥臭い現場よりの成功ノウハウを感じる。


 安藤君との音楽制作の作業が進んでいる。今までは、8割くらいのところまでは一人で作詞、作曲を行ってきたが、やはり曲作りは仲間と一緒の協同での作業のほうが楽しいし、能率もいいようだ。しかし、困ったことに。歌いたいイメージがばらけているため詩が書けない。メロディーはまとまってきたのだが、主人公の姿も、自分のポジションも決まらない。何処にいるかも判別できなければ、季節も時間帯もライフスタイルも定まらない。もちろんこの曲で何を言いたいのかも判然としない。


 20数年前、ぶらぶら生活していた大学生のころ、JR中央線の東小金井駅を下りると、よくホームを下りる階段からぼんやりと月を眺めていた。武蔵野平野独特の森や林を抜けてきた湿度のない秋の風がアーミー服の襟元を冷やし、これから冬に向かう予感のする季節、僕は訳もなく何かの不安を抱いたまま焦っていた。


 目的のない時間は、あとから考えるとエネルギーやそれを蓄える容器を製作する期間でもある。青春時代から使っていた古いバケツから、ついに水がぼれ出し、新しい容器を作る時期が来ているのを感じる。ちょっと、人より遅い気もするが。