DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2002.09.05

9月5日(木)汐留の開発の一角にあるしゃれたマンションを勉学のために訪問した。

工事中のためヘルメットを被り、煉瓦で出来たローマの住宅風の建物の中に入った。何十人もの工事労働者でエレベーターは満員状態、かれらの日焼けした埃まみれの背中を見ていて、あの日福岡ドームを始めて訪れた緊張感と期待にみちた疲労感を思いだしていた。

 1993年の冬、リクルートの選ばれたスタッフとともに福岡に飛んだ。オープン前の福岡ドームの何か手助けをするための取材であった。その時,われわれを出迎えてくれたのは中内正ツインドーム社長。まだ、何が始まるのかも予感できない巨大な建造物の中をヘルメットを被り何時間も歩き回った。それから2年間、僕は福岡と東京の2重生活を始めた。この時から、僕の人生も少し変化を始めた。

東側の窓からわずかに東京湾が見える。反対の窓には東京タワーという抜群のロケーション。室内も緑とレンガ色をベースにした粋な配色。周辺の高層ビル群が安っぽくかえって粗雑な感じを受ける。電通、日本テレビ、松下電器、などの企業が乱立するこの埋立地は、都会の新しい廃墟になるのか、それとも人が山ほど賑わうマーケットを形成した名所になるのか?こんな疑問が浮かんでしまうのも、この先行きの見えない最悪の経済に帰結する。民の自由で思い切った挑戦が国家の力となることが出来るのはいつの日だろう?

 ホテルの窓からさっき訪問した開発区域のビルが見え、どの高層ビルも頂上に赤く点滅したクレーンが動いている。少し日が落ちるのが早くなった。シャワーを浴びて、ベッドに横になった。昨日有山 茜先生に誕生日から健康、適職、相性、運命のリズムなど何ページにも及ぶデータの分析をしてもらった。“僕の未来”を読んでいる・・・・・・見えるようで見えない人生がみえる。一瞬の錯覚であろうが、未来と現在が分かったような気分がして面白い。なるべく時間をかけて、ゆっくりと完成させる仕事が僕には向いているそうだ。1日だけの仕事、一生かけてやる仕事、どの道を選択したにせよ不可能を可能にするのは自分の力であろう。

 腕時計が6時半を指している。「髪を切りに行こう」と思った。

土橋の床屋のMさんは、「毎晩のように人生が動いている女性の運をセットするのが、楽しくてねぇ」そう言って、笑った。

冷えた車の中で、冷たい飲み物を飲みすぎたせいか、少し下腹部が痛い。占いは、肝臓と呼吸器系が弱いと記してあった。



友人の経営コンサルタントの石川君が紹介している座右の銘が肝にしみる

遠きをはかる者は富み
近くをはかる者は貧す
それ遠きをはかる者は百年のために
杉苗を植う。
まして春まきて秋実る物においておや
故に富有なり。
近くをはかる者は
春植えて秋実る物をも尚通しとして植えず
唯眼前の利に迷うてまかずして取り
植えずして刈り取る事のみ眼につく。
故に貧窮す。

二宮尊徳