DIARY:夕焼け少年漂流記

 

2000.01.10

成人の日。晴れ。風が冷たい銀座。

成人の日。晴れ。風が冷たい銀座。

 東京タワーの展望台のあたりに、"2000"の文字がくっきり浮かび上がって、何時もの柚子色のデコレーションとは違い、なにか商店街のアーケイドのような庶民的な雰囲気をかもし出している。サウナから出て、いつものように深く深呼吸をする、芝公園の木々の呼吸から生成された酸素を感じながら夜の空を眺める。振り向いて仰ぐ東京タワーいつもの静かな安定感とは異なり、なにかから騒ぎの日本を象徴しているようだ。バブルが崩壊して10年、庶民の不安とあせりと政治家の嘘と、事業家の誇張がこの国を一層混迷の闇に陥れ、正直のところ成人式などという行事を人生の大切な区切りとして位置ずけている家庭や青年などいないだろう。そう言えば、僕は20歳の誕生日を、スイスのベルンで迎えた。エルトン・ジョンの「グッバイ・イエロー・ブリックロード」をゆーす・ほステルのジュ^ク・ボックスで流しながら、全く先の見えない人生をどうして生きていくのか毎日、とめどない不安の中で考えていた。今思うと、その時間が長すぎたようにも思えるし、ただのモラトリアムだった気がしてならない。つまり、"なんでも、かんでも、やってやる"ことの気が付いたのはつい最近、失敗を恐れるのも若さの特徴かもしれない。<